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Channel: ウィリアムのいたずらの、まちあるき、たべあるき
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実務と論文のギャップ

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ソフトウェア工学ネタで珍しく、ものすごいアクセスがあるようだ。
ソフトウェア工学ネタなら困らないので、今日も書いてみる。
そのうちアクセス減ったら、また止めるけど・・・


実はastahを使って要求から画面作成までを一気通貫(&自動生成)する方法の論文が無料で見れる
http://blog.goo.ne.jp/xmldtp/e/c065809180323d35203281c33cf2be68


に書いた、その先・・・なんだけど、2つの方向がある

1つは、入出力項目から、DBに行く方向、
もう一つは、要求文から一気に自動生成する方向。

上記の入出力項目からDBを生成する方法は、


佐藤正美,論理データベース論考―データ設計の方法:数学の基礎とT字形ER手法
ソフトリサーチセンター (2000)


に、確か出ていたかな・・・この本、はじめの数学は読み飛ばしていい。
あとのT字型ER図の作成手順からよみはじめる。
最近の佐藤氏の本は読んでいないのでわかんないけど、書いてあるのだろうか・・

ただ、ペーパーになると、はっきり書いてある論文は・・・みてないなあ・・
(ごめん、不勉強なだけかも)



実は、コンサルや実務家が本を書くのと、研究者が論文にするのには、
かなりギャップがある。

この前のastah使って・・で紹介した、小形先生、松浦先生の論文が出たのは、
2010年。

実務家の人が、それらしきことを言ったのは、

テクノロジックアート , C&R研究所 , 橋本 大輔, 長瀬 嘉秀,アッと驚く達人の技 UMLシステム設計実践技大全
ナツメ社(2003)

で、2004年ごろ(本が出たのが2003年12月)
この本を見れば、UMLでどうすれば開発できるか、一通りわかる
(つまり、今なら1円+送料で、UMLの開発の流れがわかる)

でもその本が出た後、日本人はヤコブソン大好きなので
(ヤコブソンも日本好きなんだよね)、ICONIXに行った。

 また、実務では、RUPなんかの方法論も出たけど、

 RUPは重くて、ICONIXには無駄もあって、

「UMLシステム設計実践技大全」の手法が圧倒的にわかりやすかったので、
この手法に落ち着いたのかな・・・

ただ、実務的には、論文に耐えうるものは出てなくて、
2010年のあの論文まで、待ったっていう感じかな・・
ここまで、数年の歳月が流れてる。



つまり、コンサルや実務家は、ラフな議論でいいので、
本が早くでる。

一方、論文、とくにフルペーパーになるのには、
ある程度厳密な議論と実証がいるので、時間がかかる。
この間、かなりギャップがある。

クラス図からDB化の手法は、
現在、この時間のギャップのハザマにあるかんじかしらね。



一方、要求文から、直接プログラムを自動生成していく手法は、
研究者中心に活動してるけど、道半ば。

言語的に制限を加えたり、自然言語を構文解析したり。
ただ、構文解析の場合、形態素までに分けてしまうと、
文章の関連(係りうけ)とかが見えてこない。
さらに、複文・重文が作れちゃうと困る。

ってなってくると、係り受けが重要で、南瓜の出番なんだけど、
そこまでの話を、あんまり見ないんだよねえ・・
もうちょっと時間がかかるのかなあ・・・



実務では、マインドマップからUMLという考えが、
今、勢いありますよね・・


マインド・マップとUMLを使った要求分析支援(前編)
マインド・マップの基本と応用
http://www.atmarkit.co.jp/farc/rensai/mm01/mm01a.html


実務的には、マインドマップを使って要求分析を行い、
それを、ユースケースに落としていき、
そのユースケースを元に、さらにマインドマップを使って、
アクティビティ図に発展させていくという流れが
出てくるに違いない。

 要求からユースケースを出す方法は、アカデミックな世界では、
ゴール指向分析のKAOSで議論されているので、それを
そのまま持ってきてもいい・・・



ただ、これを、アカデミックな世界にもっていくのには、
無理がある。

マインドマップは、恣意性がありすぎるのだ。

なんたって、はっきりした決まりがないからね。

これが、反証可能性があるか・・・とかいう問題に引っかかってくる。

素直にもって行きにくい。



と・こ・ろ・が・・・

ここに、ちょうど手ごろな自由度を持ったものがある。
RDF。

これは、主語−動詞−目的語という3つ組みを表現する。
目的語を主語に入れ替えると、どんどんレゴブロックのようにつなげて、
リンクできる(Linked Data

形態素解析で、なんかしようという流派に対しても、
主語、動詞、目的語の分類は受け入れられるものだし、

マインドマップの場合、線の上に描かれた言葉が、
主語、動詞、目的語のどれかにあたる
とすると、まあ、形になる。

RDFなら、検索とか加工もしやすい。

なので、業務体系をRDFで表現するっていう話もありだ。



まあ、こんな感じなので、当分、実務ではマインドマップを使ったものが
先行し、アカデミックな分野では、その後を追いかけるということになるのかな
と思っている。

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